2017 04 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2017 06

ナンバーズスーツprayその3IF

 【15//2017】

大変お待たせしました、第三話になります。
PXIVの方でも説明しましたが分け合って転職する事になり執筆できない状態にありました。
それも何とか完了したので活動再開いたします。
今回はIF編が先に出来上がったのでそちらから投稿いたします。




夕刻、日が傾き始めた時刻にギンガ・ナカジマは帰宅した。
「ただいまー」
玄関を潜り、そういうと台所からよく知った声が返ってきた。
「お帰りギン姉、いま晩御飯作ってるから先にお風呂入っちゃって」
声の主は妹のスバル、ギンガの妹の一人で今は職場の都合から一人暮らしをしている。
纏まった休暇をとって久方ぶりの帰省を果たしたのが昨日、今日は仕事で溜まっていた洗濯等の家事を片付けてくれていたようだ。
「ゴメンなさいね、せっかくの休暇なのに・・・」
「いいんだよ、私が好きでやってるんだし。さ、もうすぐ出切るから早く入って」
妹に背中を押され、ギンガは大人しく浴室に向かった。



それから少しして他の姉妹達も次々に帰宅する。
順番に入浴を済ませた彼女達は今、テーブルを囲んで夕飯を楽しんでいる。
「そっか、父さんは暫く帰って来れないんだ」
「ええ。容疑者の取調べが難航しているから、折角家族みんな揃ったんだからどこかに旅行でもしようと思ったのに・・・」
そう言ってギンガはため息をつく。
他の姉妹たちも少し残念そうな顔をする。
「心配しないで。今回がダメでもまたまた休暇なら取れるから」
暗くなってしまった雰囲気を払拭する為か「それよりも・・・」とスバルは話題を変える。
「明日検診なんだよね、折角だし私も行くよ」
彼女達ナカジマ姉妹は普通の人間ではない。
戦闘機人、戦う為に生み出された人と機械の融合した存在だ。
その為機械化された部分を定期的に検査、必要ならメンテナンスする必要があり、そのために定期的に検診が行われている。
「分かったわ、それじゃあマリーにスバルも行くって連絡して置くわね」
「ありがとう、よろしくね」
それから夕食を済ませた姉妹達は仕事の疲れからか自室に戻り早々に床に就いた。
そのため彼女達は誰一人気づくことが無かった。
スバルが背後で怪しい笑みを浮かべた事に気づかずに。



明かりが落とされたナカジマ家、家人が寝静まり静寂に包まれた家のリビングにスバルは音も無く侵入する。
誰も起きて来る気配がない事を確認するとテーブルの下に隠されていたケースを取り出す。
ロックを外し蓋を開けるとラバーの匂いが鼻腔をくすぐる。
暗闇の中でもスバルの強化された視覚はケースに入れられたナンバーズの防護スーツをはっきりと捉えていた。
それを着たいという欲求をガマンしながらスバルはポケットから在るものを取り出す。
それをケースに入れると蓋を閉じ、ケースをもとあったテーブルの下に戻した。
「フフッ、これで仕込みは完了。明日はよろしくね、ドゥーエ姉・・・」
スバルはクスリと笑いながらそう零す。
それを聞く存在は誰もいなかった。



「え?それじゃあマリーは?」
「はい、新型のデバイス機構の試験に立ち会わなければならなくなり・・・そこで急遽私、イスナーニが今回の検診を執り行います」
マリー・・・ナカジマ家と家族ぐるみの付き合いがあり、今回の検診を執り行うはずだった時空管理局の技術官、マリエル・アテンザが急遽これなくなったと聞きギンガは驚きの声を上げる。
急遽代理として派遣された技術官のイスナーニに案内されナカジマ姉妹は医療施設の奥に進んで行く。
「いつもの場所ではないんですか?」
「はい、今回は試験的に別の機器で検診を行う事になりました」
そう言って扉を開き部屋の中に入るイスナーニ。
彼女を追って部屋に入った一行はそこにあった物を見て驚愕する。
「あっ!」
「これは・・・!」
部屋の壁に並べられた、人一人がすっぽり入れる強化クリスタル製のシリンダーとそれらを捜査するコンソールパネル。
それらはJ.S事件の主犯者、ジェイル・スカリエッティが製作した戦闘機人、人造魔道師培養用の生体ポッドだった。
「先の事件で回収したものです、調査の結果非常に優れた機器であることが判明しました」
そう言ってイスナーニは生体ポッドの調査結果を説明する。
「これ一つで傷病者のメディカルチェックや治療、重傷者の生命維持と医療分野での活躍が期待されています」
そこでイスナーニは「ですが・・・」と言葉を濁す。
「何分管理局の機材とは全くの別物でして、スカリエッティが製作したと言う理由も相まって量産が見送られているのが現状です」
つまりこのポッドの使用に慣れている自分達が実際に使って運用データを採り、同時にポッドの有用性も示そうというのである。
このポッドは彼女達にとってとても因縁のある物体だ。
元ナンバーズの四人にとっては自分が生まれた言わば母の子宮に他ならず、ギンガにとっても自身をナンバーⅩⅢに改造した忌むべき物だ。
「皆さんが忌避感を持っているのは重々承知しています。ですが医療発展の為に協力してくださいっ」
そう言ってイスナーニはギンガ達に頭を下げた。
正直に言うとこのポッドを使う事は断りたい。
しかしこのように言われてしまっては流石に断ることは出来ず、ナカジマ姉妹達は渋々ポッドの使用を了承した。



一度更衣室で衣服を脱いた姉妹達は生まれたままの姿で再びポッドの前に立った。
「まさかまたコイツを使う事になるなんてな・・・」
呆れを含んだ苦笑を浮かべるノーヴェ。
他の姉妹たちも同様だ。
スバルを除いて。
「私は嬉しいかな」
「え?」
姉の意外な言葉にノーヴェは顔を向ける。
「なんだか私もナンバーズに、ノーヴェ達と本当の姉妹になったみたいじゃない?」
「なっ・・・!?」
顔を真っ赤にするノーヴェ。
「バッ、バカじゃねーのっ?!第一、本当も何もあたし達姉妹だろ。何言ってんだよ・・・」
「えへっ、そうだね。ありがとうノーヴェ」
スバルがそういったところで姉妹達は一先ず会話は終了となった。
イスナーニから準備が出来たと伝えられたからだ。
「それでは皆さん、ポッドの中に入ってください」
彼女からの指示に従いギンガ達は割り振られたポッドに入って行く。
チンク、ディエチ、ノーヴェ、ウェンディがそれぞれⅤ、Ⅹ、Ⅸ、ⅩⅠのポッド。
ギンガとスバルがⅩⅢ、ⅩⅣのポッドだ。
奇しくも彼女達がナンバーズとして使っていた、又は使う筈だったポッドに入るとイスナーニはコンソールを操作し始めた。
「それでは開始します」
ポッドが閉じられ中が培養液で満たされる。
液を吸い込んでも窒息する事は無く、ポッドの中でも変わらず呼吸が可能だった。
(何だろう、この中。暖かくて、優しくて・・・とても安らかな気持ち・・・)
まるで母に抱かれるような感覚でギンガ体は人工の子宮の中を漂う。
「それでは体の検査と平行して脳波測定を行います」
フワフワとした思考の中、イスナーニの声が聞こえる。
その直後、脳波測定が開始され微弱な電波がギンガの頭に浴びせられる。
(・・・何?何かが頭の中に流れ込んでくる?)
最初はおぼろげだったヴィジョンは次第に形を形成し、明瞭になっていく。
それは青だった。
紫だった。
ぬめるような光沢を放っていた。
おぼろげな意識の中、ギンガは可能な限り流れ込んでくる何かに集中する。
するとそれはうねり、伸縮し、ギンガの体に纏わり付いてくる。
(んっ・・・なに、これ・・・)
青と紫が張り付いた箇所はまるで皮膚と一体化したかのように感覚が鋭くなる。
やがて顎のラインから下を完全に包まれたギンガはさっきとは違う感覚を感じる。
優しく抱かれるような安心感。
締め付けられ、支配されるような束縛感。
そしてまるで全身を愛撫されているかのような快感・・・。
(あぁ、キモチ、いい・・・)
全身を包む快感にギンガは身を委ね、やがて彼女の精神はより深い所に堕ちていった。



「フフッ、工程は順調のようね・・・」
問題なく作戦が進んでいることに、イスナーニ・・・否、ドゥーエは笑みを浮かべた。
ポッドの中に浮かぶナカジマ姉妹達は、皆一様に青と紫のラバースーツ、ポッドの中で精製されたナンバーズスーツに身を包んでいた。
「このまま一気に洗脳したほうが楽だけど、何かの拍子で洗脳が解けてしまう危険性がある。だから・・・」
ドゥーエの指がコンソールの上で踊る。
その度にポッドの中にいる姉妹達の身体が快楽に悶えるようにピクピクと小さく痙攣する。
それはスバルも例外ではなかった。
先日ドゥーエの手でナンバーズとして生まれ変わった彼女だったがドゥーエは念を入れて他の姉妹と同様の処置をスバルに施す。
「さて、こんなところかしら。後は彼女達自身に任せましょうか」
そう言ってドゥーエが最後にキーを叩くと姉妹達の身を包んでいたスーツがボロボロと崩れだし、最後は分子レベルに分解され培養液の中に解けて消えた。
「さて・・・はい、皆さんお疲れ様でした。」
ドゥーエからイスナーニに切り替わった彼女の言葉でナカジマ姉妹達は目を覚ます。
「んっ、あれ・・・?終わったの?」
「いけない、私寝てた?」
培養液が抜けて行くポッドの中でギンガ達の意識がだんだんと明瞭になってくる。
「皆さん激務でお疲れだったのでしょう。お仕事も大切ですが休養もちゃんととってくださいね?」
ポッドが解放され出てきた姉妹達にイスナーニはそう言いながらタオルを配る。
「それでは検診は終了です。隣がシャワー室になっているのでそちらで培養液を流してください」



「ん~なんだか身体が軽い気がするっス!」
病院の受付を出たところでウェンディがそういいながら大きく伸びをする。
「そうだね、思ったとおりに身体が動くよ」
「ああ、やはりあのポッドで検査したのが良かったのだろうか?」
彼女達は気づいていないがドゥーエは作戦と平行して彼女達のメンテナンスも行っていた。
J.S事件以降、管理局で受けた検査や治療ではナンバーズだった頃のコンディションは発揮できなかった。
それは技術的な問題もあったが管理局が彼女達戦闘機人の事を恐れていたのも理由の一つだ。
万が一、彼女達が反旗を翻しても十全の力を出せないように程度の低いメンテナンスしか受けさせていなかったのである。
それをドゥーエは完璧なコンディションに回復させた為に、彼女達の体は思うように動くようになっていた。
「そういえばさ、あの検査なんだけど・・・ちょっと気持ちよくなかった?」
スバルの唐突な一言に姉妹達は先程の検査を思い出す。
「言われてみれば確かに・・・」
「うっかり眠っちゃったからはっきりとは覚えてないけれど・・・」
「確かに悪くは無かったな・・・」
姉妹達が口々にそう言うのを見て、スバルは保険がうまく行ったと内心ほくそ笑む。
もし今回の作戦がうまく行かなかったとしても今回の生体ポッドを使った検診に好感を持ってくれれば再度作戦をやり直すことが出来る。
病院を出るとチンク、ディエチ、ノーヴェ、ウェンディの四人は残りの二人とは別に検診結果を報告する為に職場に向かう事になった。
通常ならばこの程度の報告は後日行っても良いのだが元犯罪者で保護観察中の彼女達の場合、不自由なことに直ぐに報告する事を義務付けられているのだ。
「すまない、報告が終わったら直ぐに戻るから姉上とスバルは先に帰ってくれ」
「ええ、分かったわ」
「気をつけてねー」
別行動となったチンク達と別れてスバルとギンガは家路に付く。
「そういえば二人きりになったのって久しぶりだね」
「言われてみればそうね」
ギンガは家への帰り道、久しぶりにスバルと二人で他愛の無い会話を楽しんだ。
レールウェイに乗ろうと駅の構内に入ったところでスバルに通信が入る。
「ん?誰からだろう・・・?」
モニターを投影すると写っている相手は病院にいるはずのイスナーニだった。
「ああ、繋がった。スバルさん、あなたの財布が病院の更衣室に落ちてましたよ?」
そう言って彼女は落ちていたのであろう財布をスバルに見せる。
「あっ!私の財布!」
そう言うとスバルは上着のポケットを探り始める。
案の定そこには何も入っていなかった。
「あぁ、無い・・・。着替える時に落としたのかな?ゴメンねギン姉、ちょっと病院まで戻るから先に行ってて」
「もう、しょうがないわね・・・。イスナーニ技官、申し訳ありませんがスバルをよろしくお願いします」
呆れ顔で言うギンガにイスナーニは苦笑しながら了解する。
「はい。それではスバルさん、フロントにいるのでお待ちしています」
「すみませんっ、直ぐ行きますからっ!」
謝罪もそこそこにスバルは踵を返すと病院に向かって駆け出した。
「もう、相変わらずそそっかしい子なんだから・・・」
小さくなっていく妹の背中を見送りながらギンガは改めて家路に付いた。



家に到着したギンガは、リビングに隠してあるナンバーズスーツの存在を思い出した。
「そうだわ、今の内にアレを処分しておこう・・・」
自分にとっても、そして他の姉妹達にとっても忘却したい過去の象徴である。
もしアレが妹達の目に入ったら間違いなく彼女等は嫌な過去を思い出してしまうだろう。
だからこそ誰もいない今の内に処分してしまおうと思い立ったギンガは早速リビングに向かった。
シンと静まり返った無人のリビングに入ると、ギンガはテーブルの下に隠されていた大きめのケースを取り出す。
「・・・・・・」
無言でケースを見つめるギンガ。
物が物なだけに燃えるゴミに出す事は出来ないが処分方法はいたって簡単だ。
同封されていた書類に廃棄処分して欲しい旨を書いて管理局の証拠品保管課に送り返せばいいのだ。
あとはあちらで焼却処分なり何なりしてくれる。
「これで、もうこれを見なくて済むのね・・・」
肩の荷が下りた気分でギンガは書類を取り出すべくケースを開いた。
そしてそれを見たのだ。
青を、紫を、ぬめる様な光沢を・・・。
(ドクン・・・)
「えっ?」
それを、ケースに収められていたナンバーズのボディスーツを目にした途端、ギンガは心臓が大きく高鳴るのを感じた。
ギンガはスーツから目を逸らし息を整える。
しかし今度は心が乾く様な焦燥感を感じ始め、逆に呼吸が荒くなっていく。
「ハッ、ハッ、ハァ・・・」
耐えられなくなったギンガは再び開かれたケースに視線を戻す。
先程と変わらず艶かしい光沢を放つスーツを目にすると、直ぐに変化が訪れた。
まるで砂漠で水にありつけたかの様に乾いた心が潤されていく。
呼吸と動悸も目に見えて収まっていった。
そして最初に感じた胸の鼓動も戻ってくる。
「ハァ、ハァ・・・なん、で・・・?」
何故スーツを見るとこれほどまでに心がときめくのか?
それこそがドゥーエとスバルの計画の骨子だった。
検診と言う名目で生体ポッドを使用し、それに内蔵された洗脳装置で彼女達の脳、その機能に手を加えた。
ナンバーズのスーツを着る事で初めて完全な状態になると脳が認識するようシステムの設定を変更したのだ。
戦闘機人、ナンバーズにとってスーツは服と言うよりも皮膚に近い、それを着ていないのは文字通り皮膚が失われたに等しい状態であると判断し、脳が心身に不安や疼きという形で警報を発するようになる。
こうして彼女達にスーツに対して異常なまでの、依存とも取れるレベルの執着を植え付けたのだ。
一度スカリエッティから袂を分けた彼女達を再び従わせるにはそれこそ以前のナンバーⅩⅢ、洗脳されていたギンガに匹敵する感情の排除が必要になる。
それではナンバーズではなくただの操り人形に過ぎず、柔軟で臨機応変な行動が出来ない。
そのナンバーⅩⅢにしても、スバルとの戦いで洗脳が解けてしまった以上、彼女らも何らかの要因で、再び離反する危険があった。
だからこそ今回の計画なのだ。
ナンバーズスーツに全身を包まれる事に、自身がナンバーズである事に快感と安心感を感じさせ、自発的にナンバーズになる様に誘導する。
多少時間はかかるが確実にナカジマ姉妹を再びナンバーズ化させる、それこそがドゥーエとスバルの計画だった。
現に今、ギンガは目の前のスーツから目が離せないでいた。
折りたたまれたラバーの皮膜を見つめているうちに心臓の鼓動が早くなり全身が熱くなっていく。
「ハァ、ハァ・・・んっ」
思わず唾を飲み込むギンガ。
そこで彼女は自分がスーツに手を伸ばしていることに気づいた。
(なんで、何をやっているの私・・・!?)
彼女の理性が警鐘を鳴らすも、まるで思考と体を切り離されたかの如く、ギンガの手は命令を受け付けない。
恐る恐るスーツを掴んだギンガの手はそのままスーツを広げて見せた。
「わぁ・・・」
広げた途端、ギンガは思わず声を上げてしまった。
「・・・綺麗」
ラバーの皮膜は照明の光りに照らされて艶かしい光沢を放っている。
それでいて指から伝わってくる感触はまるでナイロンのような艶やかな弾力が感じられただ持っているだけでその手触りの心地よさが分かった。
(どうしよう、ただ見ているだけなのに、またドキドキしてきた・・・)
洗脳されナンバーⅩⅢになっていた時も、スバルに助け出され局の同僚達に保護された時もこのスーツを着ていたがあの時はそれほど魅力を感じる事等無かった。
だが今はどうだろう?
まるで恋をしたかのようにギンガは手に持ったスーツに熱い眼差しを注いでいる。
(・・・何でだろう、このスーツ、ずっと見つめていたい・・・。ううん、違う。着たい、着てみたい。このラバースーツで全身を包み込みたい・・・)
先程まで騒いでいた理性は目の前のスーツを着たいという欲望に塗りつぶされいつの間にか消滅していた。
止める者がいなくなったギンガは一度スーツを置くと玄関の鍵と窓のカーテンを閉める。
外からの視線を塞いだのを確認したギンガは着ていた服を脱ぎ始めた。
ブラウスもスカートも、下着すら乱暴に脱ぎ捨てられ、ギンガの裸体が露わになる。
冬の空気にギンガに刺すような寒さを感じる。
しかし彼女は暖房で部屋が暖まるまで待つことなど出来なかった。
(それに、もう寒さなんて感じなくなるんだから・・・)
体の芯はオーバーヒートしたように熱い。
この熱気も、それを放つ体も、これからラバーに包まれ閉じ込められてしまうのだから関係ない。
準備が出来たのを確認したギンガは唯一の開口部、スーツの首周りを広げるとそこに足を始めた。
「はぁぁ・・・」
両足から始まり、下半身、両腕、胸のとギンガの体は見る見るうちに青と紫に染まっていく。
「はぁ、はぁ・・・ん、はぁぁ・・・」
荒い吐息とラバーの擦れあう音を燃料に、ギンガの欲望と言う名のエンジンはますます加速する。
(包まれたい、もっと、全身をラバーで閉じ込めたい。もっと、キモチよく・・・)
首から下を完全にラバーで覆ったギンガは内側のインナースーツを引っ張り顎のラインまで持ち上げる。
顎の左右にフェイスガードを取り付けると、中の空気が完全に抜け、首すらピッチリとラバーで包まれる。
「ハァ、ハァ・・・・フフッ、すっごいピチピチね・・・」
スーツを着終わったギンガはその密着間と束縛感に酔いしれる。
しかしいつまもこうしている訳には行かない、まだ着替えは終わっていないのだから・・・。
「次は・・・」
そう言ってギンガはケースの中からプロテクターを取り出す。
一番下、左右の腰にプロテクターを取りつけロックする。
固定されたのが確認できたら次は両肩。
同じようにロックが掛かると背中にエネルギーパックを装着する。
首周りのプロテクターを装着し、エネルギーパックや肩のプロテクターと接続する。
ブーツを履きグローブを付け、ギンガは最後に残っていたインターフェースを手に取る。
「これで、これをつければ・・・」
これをつければ着替えは終わり、これで自分は再び・・・。
そう思うと、ギンガの胸の奥からゾクゾクとした高揚感が湧き上がってくる。
逸る気持ちを抑えながらギンガは目を瞑ると手にしたインターフェースを頭に取り付けた。
「んっ、あぁ・・・!」
直後、彼女の身体がビクンと跳ねる。
インターフェースがやスーツとリンクしその情報が快感となってギンガの全身を駆け巡った。
「はぁぁっ・・・!」
その瞬間、ギンガは背中を大きく逸らし、全身を痙攣させる。
「ハァ、ハァ、はぁぁあぁ・・・」
立っていられずその場に座り込んでしまったギンガは喘ぐように息を荒げる。
暫くして漸く呼吸が落ち着いたギンガは立ち上がり、ただ無言で俯き自身の手を見る。
「・・・・・・」
指の一本一本に至るまでラバーに包まれた自分の手を見つめるギンガだが、彼女の表情を窺う事はできない。
「・・・フフッ」
沈黙に支配されていた部屋、そこに唐突に響いたのは彼女の笑い声だった。
「フフっ、ウフフッ。ステキ・・・このスーツを着ることが・・・ナンバーズになるのがこんなにキモチイイなんて知らなかったわ」
顔を上げたギンガは普段の彼女からは考えられないような妖艶な笑みを浮かべていた。
「んっ、胸もアソコも・・・全身が敏感になってる・・・」
そう言ってギンガは胸や秘部を愛撫し始める。
ラバー同士が触れ合い、擦れあうたびに「ギュギュ」や「ギチギチ」と擦滑音が彼女の鼓膜を震わせる。
「あぁ、いいわぁ・・・ラバーの音、ラバーの匂い・・・堪らないわ・・・」
酔いしれるように恍惚とした表情で呟くギンガ。
だが彼女の快楽の根源はそれだけではなかった。
全身にピッチリと張り付くラバーの感触、全身をキュッと締め付けるラバーの束縛感、そしてラバーと一体化したかの様に敏感になった身体・・・。
空気に触れているだけで達してしまいそうな快感がギンガの心と体をジワジワと侵食していく。
(あぁ・・・なんて愚かだったの。あのまま洗脳されたままだったら、ナンバーⅩⅢでいたらもっと早くこの快感に出会えていたかもしれないのに・・・)
そう思うギンガだったが彼女の洗脳を解除したスバルに怒りを覚えはしなかった。
スバルは文字通り血を分けた妹、掛け替えのない姉妹なのだ。
何より・・・。
(そして何よりあの子はこの快感を知らない、ならば私のやるべきことは・・・)
そこまで考えたところで彼女の口元に笑みが浮かぶ。
「クスッ、あの子にこの快感を、ナンバーズの悦びを教える・・・それが私の、ナンバーⅩⅢとしての使命・・・」
自分が何者であるか、それを意識した途端ギンガの体を快感が這い回るように走る。
「はぁっ・・・!」
思わずギンガはベッドに突っ伏す。
「ハァ、ハァ・・・、く・・・タぁ」
ギンガは何事かを呟きながら左手で淫部に触れる。
「ドク、タぁ・・・・」
彼女の股間から『クチュクチュ』といやらしい音が聞こえてきたところでだんだん彼女の言葉も明瞭になっていく。
「ハァ、ハァっ、ドクター、ドクターぁっ・・・」
ギンガは秘部をかき回しながらしきりにドクターと繰り返す。
ギンガの知る人物たちの中でドクターと呼ばれて思い当たる人物は一人しかいない。
ジェイル・スカリエッティ・・・。
戦闘機人『ナンバーズ』の創造主にして先の大規模テロ『J.S事件』の中心的人物だ。
そして、事件の最中、ギンガを拉致、洗脳し13人目のナンバーズ、『ナンバーⅩⅢ』に改造した狂科学者である。
本来自分を洗脳し、妹と相打たせた元凶であるこの男の名をギンガが自分から発することなど、それも敵意どころか敬愛の念を込めて繰り返すなど決してありえない。
「んっ、ひぃっ・・・アハっ、ドクター・・・ドクタぁ・・・あぁん・・・!」
そう、彼女が『ギンガ・ナカジマ』ならば・・・。
「はぁん・・・ドクタぁ・・・。んっ、ⅩⅢは・・・さーてぃーんはとってもしあわせですぅ・・・」
そう、今の彼女はナンバーズのナンバーⅩⅢ・・・スカリエッティの生み出した作品の一つなのだ。
青と紫のラバーに包まれた艶かしい四肢はドクターの理想を実現する為の物。
今自分に快感を与える性器は姉妹達と愛を確かめ合うための物。
ドクターの命令に忠実に従う事こそ彼女の行動理念にして存在理由。
ゆえに創造主を賛美するのは彼女にとって当然の行為でしかなかった。
「アッ、はぁぁ・・・っ。アハッ、さいっこうの気分だわ・・・」
ギンガ、否、ⅩⅢが口元に笑みを浮かべる。
左手はなおも執拗に蜜壷をかき回し、右手は乳房をやや乱暴に揉みしだく。
「あンっ・・・おっぱい、きもちぃ・・・はぁぁ・・・」
それでもまだ足りないのか、彼女の手は更に強く、激しく自身を攻め立てる。
ⅩⅢの胸は彼女が揉む度に指の形に従い潰れ、変形し、体の動きに併せて揺れる。
指が蠢く度に、電気信号に変換された快感が体中の神経に伝わり彼女の体は脊髄反射的にビクビクと震える。
膣の内部は分泌された愛液で満たされ、小さな刺激ですら行き場を失った淫蜜があふれ出て彼女の体を、ラバーの皮膜を、そしてベッドのシーツを濡らす。
「アッ、ハァッ、アンっ・・・!もっと、もっとぉ・・・」
愛液に濡れた手で全身を愛撫しながらギンガは更なる快楽を欲した。
「あぁ、ドクタぁ・・・ⅩⅢは、サーティーンはもっとキモチよくなりたいです・・・どうか、どうかサーティーンを快感で、快楽で染め上げてください・・・っ」
果たしてその願いが届いたのか、ナンバーⅩⅢの頭部に取り付けられたインターフェースが動きだし、彼女の快感中枢を刺激し始める。
「んっ、あぁ・・・っ!」
頭の中を直接陵辱されるような快感にⅩⅢの背筋が大きく仰け反る。
「はぁぁっ・・・これよ、これだわっ。この快感をまっていたの・・・っ」
悦びの声を上げながらⅩⅢは再び自慰を再開する。
「アッ、ハァっ、アハァァァ・・・っ!」
喜の感情一色に染まった表情で彼女は執拗に性感帯を攻める。
乳房を揉みしだき、膣内をかき回し、ピンと張った乳首とクリトリスを丹念に扱く。
「ハァァ・・・っ!あぁ、イくっ、イクぅ・・・!」
そして高まった性感は最早爆発寸前で、いよいよ絶頂の瞬間を迎えようとしていた。
「アンっ・・・アハッ、ドクタぁ。サーティーンは、さーてぃーんはイっちゃいますぅ・・・」
快感に溺れながらもⅩⅢはここには居ない創造主の名を呼ぶ。
「んっ、見ていてくださいドクター・・・サーティーンが、くぅっ・・・イくところ、全部ぜんぶ見ていてください・・・あぁんっ」
そういうとⅩⅢは最後の追い上げに掛かった。
今まで胸にあった右手も下腹部に移動し、両手で秘所を攻め立てる。
秘所から淫蜜と共に「クチュクチュ」といやらしい音が零れ、それが鼓膜を震わせるたびに、昂ったⅩⅢの精神は更なる興奮へと誘われる。
「クッ、あぁっ・・・んぅ、はぁぁあ・・・っ!」
零れ出る声を押し殺しもせず、全身に快感が駆け巡るたびに嬌声を上げ、身体をビクビクと震わせる。
「あぁっ・・・、来る、くるよぉ・・・あぁぁっ来たぁ・・・!」
体の内側で膨れ上がる快感と衝動にⅩⅢの期待と興奮も跳ね上がる。
彼女の性感のスピードメータはレッドゾーンを超え、振り切れてしまっている。
「もっと、もっときてぇ・・・!」
それでもⅩⅢは更にアクセルを踏み込む。
自身を犯す指の動きが加速し、彼女の感じる快感も更に増していく。
「アッアッアァッ、イくっ、イクッ、イクイクイクイっちゃう・・・っ!」
とっくに限界を超えていた身体に最後の加速を受けてついにⅩⅢは・・・。
「イクッ!イクッ!イクウゥゥゥゥゥゥゥゥゥっっっ!!!」
絶頂に達した。
猛加速の後に崖から飛び降りたかのような浮遊感に包まれるⅩⅢ。
「ハァ、ハァ・・・あはぁぁ・・・」
同時に彼女は強い幸福感に包まれていた。
「あぁぁ・・・ドクタぁ。さーてぃーん、イっちゃいましたぁ・・・」
ここには居ない創造主にそう報告の言葉を送りながらⅩⅢの意識は深い余韻の海に沈んでいった。
それを監視する存在に気づく事無く・・・。



薄暗い病院の一室、そこに二人の人影があった。
「フフッ、ギン姉ったらキモチよさそう・・・」
モニターの向こうで果てる姉の姿にスバルはニヤリと笑みを浮かべる。
病院に戻ったスバルはドゥーエと合流し、自宅に戻ったギンガのことをモニターし始めた。
案の定ナンバーズスーツを処分しようとしたギンガは逆に自らスーツに身を包むと快楽を求めて自慰に没頭した。
「これでギン姉はスーツの虜、もう処分使用なんて考えられなくなったね」
そう言ってスバルは手に持った小型の機械を弄ぶ。
それはナンバーズが頭部に装着するインターフェイスだった。
先程のギンガの痴態も昨夜スバルが手に持ったインターフェイスとケースの中の物をすり替えたのが原因だった。
従来の機器と違いこの病院から遠隔操作可能なインターフェイスから発せられる電子パルスが彼女の脳に淫催効果のある刺激を与えていたのだ。
同時にスカリエッティへの忠誠やナンバーズであることに悦びを覚えるように意識誘導を行っており、結果は先の通り。
ギンガは自らナンバーⅩⅢを名乗り、自慰の間もドクターを賞賛する言葉が途切れる事はなかった。
「でもよかったの?あのまま完全に洗脳する事だってできたのに・・・」
スバルの隣にいたドゥーエが尋ねる。
彼女の言うとおりⅩⅢ、ギンガの洗脳は一時的なものに過ぎない。
絶頂を迎え、精神が無防備になった所を完全に洗脳する事も可能だったがそれも行わなかった。
その証拠にモニターの向こうで余韻から覚めると同時に我に返ったギンガが慌ててスーツを脱ぎにかかっている。
「フフッ、楽しみは最後に取っておかないとね」
「ふぅん、なるほど・・・」
スバルの意図を理解したドゥーエは妹と同様に暗い笑みを浮かべると再びモニターに視線を戻す。
そこには一糸纏わぬ姿となったギンガが脱ぎ捨てられたスーツをジッと見つめている光景が写っていた。
「フフフ・・・楽しみに待っていてねギン姉。私がとってもキモチよく、堕としてあげるからね・・・」



誰も居ないナカジマ家のリビングで彼女、ギンガナ・ナカジマは一人頭を抱えていた。
「私、何であんなことを・・・」
そういう彼女の前には先程まで彼女が着ていたナンバーズスーツが畳んで置かれていた。
目を閉じればあの時のことが手に取るように思い出せた。
ラバースーツに全身を包まれる快感が・・・ナンバーズになる幸福感が、ドクター・スカリエッティに隷属する悦びが・・・。
『ドクン・・・』
思い出した途端ギンガは再び胸が高鳴るのを感じた。
「・・・!これが、このスーツが原因よっ・・・!これが私をおかしくして・・・」
そう言ってスーツを床に叩きつけようとしたギンガだったができなかった。
「あっ・・・」
スーツを手に取った途端、まるで優しく愛撫するような柔らかい感触が手に伝わってきた。
(この感触、さっきまで全身で感じてたんだ・・・)
そこでギンガは再び湧き上がってくるスーツへの渇望をフルフルと頭を振って振り払う。
「と、とにかくこのスーツは危険すぎるわ。明日本局に持って言って処分して・・・」
そこまで言ってギンガは思いとどまってしまった。
処分する、つまりもうこのスーツを着る事はできなくなってしまう。
もう二度とあの快感を感じられなく・・・。
「・・・ダメダメッ!」
ギンガは頭をブンブンと振ってスーツに背を向ける。
「ダメよギンガ、アレは処分しなきゃいけないの。処分、しなきゃ・・・」
自分に言い聞かせるギンガだったがその言葉はだんだん尻すぼみになっていく。
「・・・・・・」
ついに無言になってしまったギンガはチラリとスーツに目をやった。
スーツは先程と変わらず部屋の明かりを受けて艶かしく光沢を放っていた。
それからギンガは暫く無言でスーツを見つめてからそれを畳み直し、元あったケースに入れた。



その日の夜、リビングにゲンヤを除くナカジマ家の一同が集合していた。
「「「「「・・・・・・」」」」」
彼女達の視線の先には件のケース。
その蓋は開かれ、中のスーツが露わになっている。
「・・・そういうわけで押収品の一部が返却されたの。それで処分するつもりだったんだけど一度皆に相談しようと思って・・・」
結局ギンガはスーツを処分できなかった。
このスーツの危険性は分かっていながらももう一度着たいという欲求には勝てなかった。
最終的に本来の所有者である妹達に相談して処分の是非を決めてもらうという結果に落ち着いたのである。
「まさか生体ポッドに続いてこれを目にすることになるとはな・・・」
元ナンバーズ達の中で最年長のチンクがそう感想を漏らす。
しかしその声色に嫌悪感は無く、どこか喜びと懐古の情が感じられた。
他の姉妹たちも同様である。
皆、懐かしむような、それでいてどこか嬉しそうな表情でスーツを見つめている。
「あの~、何でアタシも呼ばれたの?」
不思議そうな表情でギンガに尋ねるスバル。
本来であればナンバーズでなかったスバルはここにいる必要がない。
「うん、あのね・・・。送られてきたスーツの中に、その・・・スバル用のスーツもあったの」
「えっ?」
「スカリエッティが用意していたものなの。スバルを捕まえて何時でも洗脳できるようにって・・・」
そう言ってギンガはケースの中に入れられていたスーツの一着をスバルに見せる。
一緒に取り出した胸元に取り付けるプロテクターには彼女が呼ばれるはずだったナンバー、ⅩⅣの数字が刻印されていた。
「私の、スーツ・・・」
スバルはギンガからスーツを受け取るとジッと見つめる。
「安心して、そのスーツも他のと同様にちゃんと処分するから・・・」
ギンガがそう言いかけたところで再びスバルが口を開いた。
「あのさ、ギン姉・・・このスーツだけど・・・私が貰っちゃダメ?」
彼女の言葉にその場にいた姉妹達は目を丸くした。
姉と戦う事になった過去を思い起こし、更には最悪の可能性の象徴であるスーツ、それをスバルは引き取ろうというのだ。
「本気なのっ?」
スバルの言葉にギンガは困惑を隠せなかった。
「うん」
「理由を、聞いてもいい?」
そう問われた途端、スバルは顔を赤らめモジモジし始める。
「その・・・怒ったり笑ったりしない?」
「え?うん・・・」
ギンガが答えるとスバルは躊躇いがちに理由を口にした。
「その、ね。変な話かもしれないけど・・・私も、着てみたいの。このスーツ・・・」
一同が唖然とする中、スバルは続ける。
「事件の時は色々必死だったから考えた事無かったんだけどね、終わってから思うようになったの。スーツ姿の皆、キレイだったなって・・・」
「えっ・・・?えぇっ!?」
ギンガだけでなくスバルを除いた姉妹全員が思わず声を上げてしまった。
ナンバーズのスーツ姿の自分達をキレイだと、しかもスバルの口から聞かされるとは思ってもいなかったからだ。
同時にギンガ達の顔は見る見るうちに赤くなっていった。
ギンガはもとより、今のチンク達も一般的な羞恥心は持ち合わせている。
全身にピッチリと張り付き体のラインがくっきりと浮かび上がるスーツ姿を思い出し、恥ずかしさで顔といわず全身が熱くなってきた。
「やっぱり、ダメだよね・・・ゴメンね、変な事言って」
そう謝るスバルはどこか寂しげだった。
漸く家族の絆が芽生えてきたの言うのに仕事のせいで疎遠になってしまったスバル。
もしかしたら姉妹達との触れ合うきっかけを欲しているのかもしれない・・・。
そう判断した姉妹達で真っ先に行動したのはノーヴェだった。
「そんな事ないっ!恥ずかしいけど、キレイって言われて嬉しかったし・・・」
ノーヴェを皮切りに姉妹達は口々にスバルをフォローし始める。
「ノーヴェの言うとおりだよスバル」
「そうっスよ!それにスバルのスタイルいいからきっとスーツも似合うっス!」
「みんな・・・」
やや的外れな発言ながらも、スバルを本気で心配している妹達に苦笑しながらチンクはギンガに尋ねた。
「ギンガ、そのスーツには特に細工等はされていなかったんだな?」
「え?ええ、技術課が解析したけれど妖しい仕掛けは無かったらしいわ」
「そうか、なら・・・」
そう言ってチンクはケースから自分のスーツを取り出した。
「妹の為に人肌脱ぐのも姉の務めだからな」
それを見たディエチ、ノーヴェ、ウェンディもスーツを手に取る。
「皆で着れば恥ずかしさも紛れるかもね・・・」
「スーツの着方分かんねぇだろうからな。あたしが教えてやるよ」
「素直じゃないっスねぇ、ノーヴェは・・・一緒に着たいって言えばいいのに」
「ば、バカっ!そんなんじゃねぇよっ!」
「みんな・・・ありがとう」
妹達の行動を目にし、ギンガは我が事のように嬉しくなった。
彼女達とスバルの間に家族の、姉妹の絆が芽生え、しっかりと繋がりあっている事がはっきりと分かった。
そして勿論自分にもだ。
「決まりね、処分は見送りましょう」
そういうとギンガは残っていたスーツを手に取った。
「ギン姉まで・・・」
「あらスバル、何か問題?姉妹皆で話し合って決めた結果だもの、異議申し立ては聞きません。ウフッ」
長女が強権を発動した事に妹達は一様に苦笑する。
ナカジマ家のリビングは普段にも増して穏やかな空気に包まれた。
しかし彼女達は気づくことができなかった。
和気藹々とした空気の中、二人ほど異なる笑みを浮かべていることに。
「ふぅ・・・」
方やギンガが浮かべる安堵の笑み。
そして。
「・・・フフッ」
スバルが浮かべる暗く、妖艶な微笑みを・・・。


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悪堕ちとピッチリスーツをこよなく愛する変態。
理想の悪堕ち妄想はリリカルなのはのスバルのナンバーズ化w

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