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幕間、世界の闇心の闇

 【26//2016】

エロシーンを期待していた皆様、申し訳ありません、今回はエロ無しです。
なのはさんが大人の事情に振り回される話です。




先に脱獄したジェイル・スカリエッティの管理局への犯行予告。
その数日後、それは突如始まった。
『我が名はオリヴィエ・・・ジェイル・スカリエッティの技術で現世に蘇った最後の聖王、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトである』
通信網をハッキングされ次元世界中に流された映像で、聖王オリヴィエ・・・ヴィヴィオの口から明かされる管理局の暗部の数々。
局内に潜入していたドゥーエより得られたそれらの情報は管理局が情報統制するよりも早く市民の間に広がり、彼らに局への不信感を植え付ける。
『もはや時空管理局にこの次元世界を守護する資格は無い!今こそベルカの正統なる後継者として私は時空管理局に対して宣戦を布告する!』
ヴィヴィオの宣戦布告で放送は終了し、時を同じくしてスカリエッティの軍勢は攻勢を開始した。



市街地を青い一団が駆け抜ける。
ラバースーツに身を包んだ女達、ナンバーズと量産型戦闘機人、センチュリオンズだ。
戦闘機人達は文字通り風のような速度でクラナガンを疾駆し、各所に点在する陸士隊駐屯地を強襲する。
彼女達の強力な打撃力により穴を穿たれた防衛線に大量のガジェットドローンがなだれ込み、駐屯地は次々と陥落していく。
一部ではガジェット相手に善戦する部隊も存在したが、AMF下で戦闘機人が相手では勝ち目はなく、彼女達が到着するや否や手にした銃やエネルギー刀、デバイスや固有武装の前に倒れるのだった。
しかし、管理局側もまだ諦めてはいなかった。



クラナガンの郊外にある陸士隊駐屯地の一つ、そこは今センチュリオンズに制圧されようとしていた。
既に管理局側は組織的な抵抗が不可能な状態であり、彼女達は隠れている生き残りを掃討する段階に入っていた。
「こっちはもう終わりね、西棟のほうはどうなってるの?」
脱出を図ろうとしていた局員の背中を撃ちながら戦闘機人の少女は両機の少女に尋ねる。
「向こうもこっちと同じ。『移送』の方も終わったって」
「了解、しかし・・・こいつ等もバカだよねぇ。ドクターに逆らったりしなければ死なずに済んだのに」
かつて機動6課に所属していた少女が呆れとも嘲笑とも取れる言葉を零す。
「それ、元局員の私達が言えた事じゃなけどね。でも同感、ドクターに隷属する素晴らしさを理解できないなんて、可哀想な連中よね・・・」
その言葉に先の犯行声明時に、捉えられた元陸士隊員のセンチュリオンズが憐憫の篭った瞳で局員達のなきがらを眺める。
二人が談笑しながら掃討を続けていると突然、彼女達のセンサーが警報を鳴らす。
「「・・・・ッ!!」」
咄嗟に横に飛び退く戦闘機人達。
直後、彼女達が立っていた場所をピンクの魔力弾がなぎ払う。
戦闘機人に改造されていなければ、避ける事は叶わず、直撃を受けていたであろう。
額に冷や汗を浮かべながら彼女達は自分達を攻撃した張本人に目を向けた。
「っ!?」
そこに飛来したのは純白のバリアジャケットの魔道師。
ツーサイドアップにした栗色の長髪。
そしてその眼に宿るのは不屈の光。
「高町、なのは・・・!」
そう、彼女達もよく知る人物。機動6課の最高戦力にして不屈のエース・オブ・エース、高町なのはが戦場に舞い降りた。



なのはが現れたと知ったセンチュリオンズの対応は迅速だった。
敵わないと分かっている相手と戦う愚は冒さず、牽制射撃を行いながら速やかに撤退していく。
恐らくスカリエッティかナンバーズ達から交戦は避けるように厳命されていたのだろう。
彼女達が退いたのを確認したなのはがホッと一息つくと、見知ったチャンネルから通信が入る。
それは今のなのはに与えられた二人の部下の一人、そして同時に彼女を今悩ませている原因でもあった。
『こちらスターズ3、西棟の敵が撤退しました。これからスターズ5と一緒にそっちに向かいます』
画面に映る少女は抑揚の無い声で淡々と報告する。
なのはに付けられた二人の部下、一人は今回の事件で保護観察を取りやめ急遽嘱託魔道師として呼び戻されたルーテシア・アルピーノ、そして・・・。
「了解。警戒は怠らないようにね、スバル」
『了解です、高町一尉』
先の戦いで捕らえた戦闘機人・・・ナンバーⅩⅣ、スバルだった。



「どうしてです!?理由を説明してください!」
ヴィヴィオの宣戦布告のおよそ3時間後、なのはは眼前の人物達に叫んだ。
円卓を囲んだ時空管理局の陸海空の幕僚達はなのはの言葉に煩わしげに顔を歪めながら応える。
「何度も言わせないでくれたまえ、機動6課が無力化され、各地の陸士隊も奇襲で大打撃を受けた今、どのような形でも戦力が必要なのだ」
「左様。この状況下だ、敵の戦力だろうと利用できるものは利用しなければならん。分かるだろう、高町一尉?」
「でも、それじゃあスバルは・・・」
なのはが高官達と問答を繰り返しているのは先に捕らえたスバルの扱いに関してだ。
下された処置は最戦力化とそれに伴う記憶と感情の凍結。
いうなれば彼女の人間性の全否定、今のスバルはもはやただの戦闘マシーンでしかない。
「そもそも、君を含めた隊長陣の不手際が事の発端ではないのかね?」
「ティアナ・ランスターが洗脳されあちらに寝返ったと気付いていればこのような事態は防げた筈だ!」
「事は機動6課だけの問題ではない、本局の危機管理意識の低さが招いた結果だ!」
「何を言う!元をたどれば貴官ら陸がスカリエッティと取り引きしたのがそもそもの原因ではないか!!」
醜い罵声と責任転嫁の応酬の末、落ち着きを取り戻した幕僚は改めてなのはに司令を下す。
「とにかく、これ以上彼奴等の暴挙を看過することは出来ない。高町一尉、貴官にスバル・ナカジマ、ルーテシア・アルピーノを預ける。遊撃部隊を率い、スカリエッティ一味を殲滅せよ」
「・・・・・・え?」
今、目の前の男はなんと言った?
(殲、滅・・・?)
「待ってください、殲滅とはどういうことですか!?被疑者は捕縛するのでは・・・」
なのはは反論しようとするも、直後に幕僚達に封殺されてしまう。
「もはやそのような猶予はありはしない!」
「未確認ではあるが各世界に潜伏している反動勢力もこれに呼応する動きがある。そうなる前に速やかに解決しなければならんのだ」
「うむ、奴らに対する良い警告にもなる。我らの管理から脱しようとする者への良い見せしめにな・・・」
「そんな・・・っ!」
なのははこれまで似ない絶望を覚えた。
逮捕ではなく殲滅、つまり彼らは自分にフェイト達を殺せといっているのだ。
「これは決定事項だ、意義は認めん。いいな、高町一尉。局員としての責務を果たせ」
それからの事はあまり覚えていない。
おぼろげな意識の中で自分は一言、「了解」と答えて、早足に退室したような気がする。
踵を返した背後、幕僚達が『管理外世界の田舎物め・・・』と自分を罵っていたような気もするが、なのははそれを気に留める余裕すらなかった。



(本当にこれでいいの・・・?)
なのはは瓦礫の山の上で一人、言い渡された命令に懊悩していた。
エース・オブ・エースなどと呼ばれ、持て囃されているが所詮ただの小娘。
救ったと思った教え子も、ただの兵器に変えてしまった。
(こんな時、他の皆だったらどうするだろう・・・)
そう考えてみたがそれが意味の無いことだとなのはは気付いた。
今回の事件で彼女の周囲は大きく変わってしまった。
フェイトの義母であるリンディや義兄のクロノといった6課の関係者はスカリエッティとの繋がりを疑われ大部分が降格や権限の剥奪をされたうえで辺境へ左遷、事件から遠ざけられてしまった。
同様に聖王協会もヴィヴィオを通じてスカリエッティと共謀していると疑惑をかけられその権限は大きく削がれてしまった。
(違う、あの人たちはただ力が欲しいだけなんだ。だからこんな状況で権力争いなんてやっているんだ。そのせいでリンディさん達は・・・)
そう思うとなのははとてもやるせない思い出胸がいっぱいになった。
自分達は今まで次元世界に住む人々の為に働いていたと思っているし、それに誇りを持っていた。
しかし本当にそうなのか?
それなら何故、戦いが終わらないのか?
何故管理局の体制に異を唱える人物が現れ続けるのか?
(実際に守っているのは世界じゃなくて管理局の威信と利権だけなの?スカリエッティの言うとおり私達には世界を護る資格は無いの・・・?)
グルグルと思考の渦に呑まれ沈んでいくなのはにルーテシアを伴ったスバルが声をかけた。
「戻りました、高町一尉」
やはり彼女の声に感情は存在しない。
かつての天真爛漫さはおろか洗脳されていた時のサディスティックな感情すら・・・。
ただ機械的に報告するばかりだった。
「ご苦労様、陸士隊の被害は?」
「はい、殉職が18、重傷21、軽傷11、行方不明9です」
「そう・・・」
18名が死亡、もし自分が躊躇わず彼女達を撃っていればもっと助かったかもしれない。
自責の念がなのはの心を締め付ける。
暫く項垂れていたなのはは立ち上がり、自身の頬を張る。
「行こう。襲撃されているのは此処だけじゃない」
割り切ったわけじゃない。考えるのをやめたわけでもない。
だがとにかく今は、襲われている味方を救出することが最優先だ。
そう自身に言い聞かせながらなのはは生き残りの陸士隊と合流、回収ヘリに彼らが乗ったのを確認すると共に地上本部へ帰等した。
胸の奥に疑念やジレンマを抱えたまま・・・。



混乱の続くミッドチルダの首都クラナガン、その中心にそびえ立つ時空管理局地上本部。
本局から派遣された局員に宛がわれた部屋の一室に彼女はいた。
「グスッ、うぅ・・・」
ベッドの上で彼女、本局技官のマリエル・アテンザは膝を抱えて嗚咽を漏らしていた。
「ヒック・・・スバル・・・」
彼女は涙を流しながら変わり果てた、自分の手で変えてしまった少女の名を呼ぶ。
その指令が来たのは数日前だった。
内容はただ一言、スバルナカジマの記憶及び感情を凍結せよ。
何故そのようなことをするのか、理由は理解できる。
J.S事件の傷が癒えぬ現在の管理局では今回のスカリエッティの蜂起を止める事が非常に困難だ。
それ故、敵であろうと戦力になるなら使い、あわよくばスカリエッティ諸共共倒れしてくれるなら万々歳、と言うのが上層部の思惑だろう。
だがそのような事看過できるわけが無い。
スバルとその姉、ギンガの二人は小さい時から見てきたある意味妹と言っても過言ではない存在だ。
それを兵器として利用されるなど決して許せない。
マリエルは命令を頑なに拒んだ。
しかし結果はどうだ?圧力に屈しスバルをただのマシーンにしてしまったではないか。
「最低だよ、私・・・」
逃れられぬ自己嫌悪の重圧につぶれそうになっていると突然、部屋の扉がノックされた。
「・・・はい」
『地上本部技術課のイスナーニです。入っても宜しいでしょうか?』
今は非常時、流石に駄目だとは言えない。
マリエルは体に鞭打って立ち上がると最低限の身だしなみを整え、来客を迎え入れた。
「失礼します・・・って、大丈夫ですかマリエル技官?」
入室下途端心配そうな顔になるイスナーニ。
無理も無いだろう、泣き続けて真っ赤になった目、碌に食事も取っていないためか痩せこけてしまった頬、どれだけ取り繕ってもマリエルの顔はひどい状態だった。
「ああ、うん。大丈夫・・・それで、何かしら?」
「いえ、此処暫く技官が部屋から出てこないもので・・・心配になって尋ねました」
どうやら周りの者達にも迷惑をかけてしまっていたようだ。
マリエルの心に新たな自責の念が圧し掛かる。
「そっか・・・」
「その、私で宜しければ相談に乗ります。話すだけでも楽になるはずです」
「うん・・・」
椅子に座ったマリエルはイスナーニに促され、事の顛末を語りだした。
スバルとギンガのこと、彼女達が敵に回ってしまったこと、なのはがスバルを保護したこと、そして自分が彼女を兵器に変えてしまったこと・・・。
「ほんと最低だよね、私・・・。家族を売るような真似してさ・・・」
もしかしたら自分は慰めて欲しかったのかもしれない。
優しい言葉をかけてもらい自分は悪くないと言って欲しかったのかもしれない。
そんな浅ましい自分がいる事に気付いたマリエルだったがイスナーニから返ってきた言葉は予想外のものだった。
「ええ、全く・・・最低の人間ですね、あなたは」
浴びせられた蔑みの言葉にマリエルは顔を上げた。
「えっ・・・?」
見上げると、そこにはイスナーニが腕を組んだ姿勢で自分を見下ろしている。
その目はまるで害虫が汚物を見るような冷たい視線を向けている。
「イスナーニ、いったい・・・」
「話しかけないでくれますか?ゴミ屑の分際で・・・」
先程までの優しい印象は失せ、有無を言わせない高圧的な空気を彼女は纏っていた。
「さっきから聞いていれば上層部が命令が・・・あなたにとってスバルはそんなものに劣る存在だというの?」
「ち、違う!私にとってスバルは・・・!」
反論しかけるマリエルだったが、イスナーニに頬を張られ発言を封じられる。
「なら何で彼女を改造したの!」
「・・・・・・」
彼女の鬼気迫る怒声にマリエルは黙り込んでしまった。
「口では家族だ姉妹だといっているけど結局あなたは我が身可愛さからあの子を売ったのよ!そのくせして命令でやった?上から圧力?自己弁護ね、自分が悪くないってそういいたいんでしょ?」
「やめて・・・」
か細い声で制止するマリエル、そんな彼女の前に身を乗り出しイスナーニは続ける。
「それがあなたと言う人間の本性よ。自分が大事でそのためには大切な人も簡単に切り捨てる・・・」
イスナーニはマリエルの胸を指差しながら最後の一言を発した。
「あなたは人間の屑よ・・・!」
「やめてえぇぇぇ!!」
叫びながらマリエルは耳を塞ぎ身を縮こませる。
「私は・・・私、ごめんなさい、スバル・・・」
マリエルは心を砕かれ、壊れたレコーダーのようにうわ言を繰り返す。
イスナーニは満足げに微笑むとマリエルの頬を伝う涙を拭う。
「でも仕方無いのかもね。そんな存在、あなただって好きでそうなった訳じゃないでしょうから・・・」
「えっ・・・」
再び顔を上げたマリエルにイスナーニは続ける。
「周りには利己的で卑怯な人間ばかり。そんな奴らといたからあなたまで汚い人間になってしまったのね・・・」
「私、いったいどうすれば・・・」
縋るように問うマリエルの手を優しく握る。
「マリエル、汚い人間は嫌?」
「嫌だよ・・・汚い連中も卑怯者な自分も全部嫌・・・!」
マリエルの答えにイスナーニは「そう・・・」と呟き続ける。
「だったらやめちゃえばいいじゃない」
「え?それってどういう・・・」
戸惑うマリエルの眼前でイスナーニはある物を取り出す。
「っ!それは、レリック・・・!」
「管理局も人間も全部やめちゃいましょうよ?そうすれば汚いしがらみや呪縛から開放されて楽になれるわ」
「本当に・・・?」
「えぇ、きっと素晴らしい世界が待っているわ」
「どうする?」、そう質問しながらイスナーニ・・・ドゥーエはレリックをマリエルに差し出す。
マリエルはそれが何なのかを知っている。
それを使ってしまえば自分は人間ではなくなってしまうことも。
しかし・・・。
「あぁ・・・。これを使えば、これを使えば私も・・・」
眼前のレリックをマリエルは愛おしそうに抱きしめた。



マリエルが人間としての生に見切りをつけていたその時、召集を受けたなのはは怒気に満ちた視線を幕僚たちから向けられていた。
「この報告は何の冗談だね高町一尉?」
「襲撃が始まってから既に一週間。その間戦闘機人と交戦するも全ての戦闘に措いて碌な損害も与えず逃走を許しただと・・・?ふざけているのか!?」
飛んでくる怒声に耐えつつ、なのはは淡々と報告する。
「彼女達は私との戦闘を避けているようです。実際現場に到着すると彼女達は早々に撤退してしまいます。そのため追撃よりも生存者の救出が優先と判断し・・・」
「うるさい!言い訳など聞かん!」
しかし彼らにとってその内容は意に沿わないものだったようだ。
「今我々の置かれた状況が分からんのか?外を外を見てみたまえ!」
その言葉になのはは視線を窓の外、地上本部正面ゲート前の人だかりに向けた。
いずれの顔にも不安と恐怖、そして苛立ちといった感情を浮かべ、管理局への抗議の声を上げている。
前述の通りスカリエッティの攻撃が始まってから一週間が立つが、未だに事件は収束せず、市民の間に不安と管理局への不信感は日に日に募っていく。。
それを加速させているのが先に公開された管理局上層部の不正の数々だ。
蓄積された不安は管理局への怒りに変わり、それは膨れ上がりついに爆発したのだ。
「クラナガンの各地で暴動が発生している。警邏隊では手に負えず残った陸士隊を投入せざる終えない」
「そのせいでスカリエッティへの対応に割ける人員が全く足りん。今攻撃を受けたら地上本部は今度こそ壊滅だ」
「市民達の不信感を解消するにはそれ相応の功績が必要なのだ。それを貴官は・・・」
口々になのはを非難する高官達、それを一身に受けるなのはの胸は失望感でいっぱいだった。
(ああ、やっぱり。結局この人たちは自分達の事しか考えていないんだ・・・)
功績を優先するのは市民の不満を解消するため、不満を解消するのは管理局の威信を保つため、延いては自分達の保身の為でしかないのだ。
(私達はそのための駒、使い捨ての道具に過ぎないってこと?私達はこんなことの為に今まで必死になっていたの・・・?)
なのはが思考の渦に沈みかけていると、高官達は新たな議題を話し始めた。
「幸いなことに戦闘機人共の帰還ルートをトレースした結果、彼奴等の拠点と思しき場所を発見することは出来た。本局から到着した機動1課から5課、そして高町一尉等6課残存戦力を持ってこれを強襲。速やかにスカリエッティ一味を殲滅する」
それを耳にしたなのはの第6感が・・・長年最前線で培ってきた、そしてスカリエッティを相手にしてきた直感が警鐘を鳴らしていた。
「ま、待ってください!施設内部の把握も行わずに突入するのは危険です。それに殲滅と言うのはやはり・・・」
「現状が分っているのか!?」
なのはの反論は高官の一人の怒声に封じられてしまう。
「そのような悠長なことを言っている余裕は無い。今こうしている時でさえ戦力差は開いて行く一方なのだ」
彼らの発言になのはは歯噛みする。
実際、自分達は追い詰められているのだ。
先の戦闘機人の襲撃で局員に多数の死傷者が出た。
同時に行方不明になった局員も確認されている。
いずれも10代から20代の女性局員ばかりだ。
生き残った局員の証言では彼女達は戦闘機人達に拘束され、そのまま連れて行かれてしまったらしい。
彼女らの安否が不安視され、一部では生存は絶望的と思われたその数日後、未だ無事だった駐屯地に攫われた局員達が現れたのである。
自分達の敵として・・・。
彼女達は皆、ナンバーズやセンチュリオンズと同じラバースーツに身を包んだ姿で現れ、同じく出現した戦闘機人達と共に駐屯地を襲撃したのだった。。
スカリエッティは誘拐した局員を洗脳、戦闘機人に改造し戦線に追加投入している・・・。
その事実に管理局は文字通り震撼した。
こちらの戦力は日を追うごとに減っているのに対し、あちらは強力な駒を次々に作ることが出来る。
しかも昨日まで共に戦っていた同僚が、親友が、恋人が何のためらいも無く自分に銃口を向けるという恐怖に前線で戦う局員の士気は見る見るうちに低下していった。
「各世界で反動勢力が活発化しており本局の増援は期待できない以上我々のみで解決せねばならない」
「高町一尉、これは管理世界の存亡をかけた戦いなのだ。判ったな?」
彼らの命令に対し、なのはは暫し沈黙した後に答えた。
「・・・了解。施設への突入命令、拝命いたします」
「結構。作戦開始は明朝となる。それまでに準備を整えておきたまえ」



その翌日、なのはは突入部隊の乗ったヘリを先導しながら地上本部より飛び立った。
眼下には早朝から市民が押しかけているのが分る。
そのうちの一人がなのはに気付いたのかこちらを指差しながら何か言っている。
すると他の人々も同様に彼女を見上げ、指差し、そして手を振っている。
不安に苛まれる市民にとって、かつてスカリエッティを捕らえた機動6課、その生き残りであるなのはは彼らにとっていつしか希望の星となっていた。
彼らに手を振りながらなのはは決意を新たにする。
(そうだ、私はあの人たちとは違う。管理局の威信のためじゃない、まして自分の保身の為でもない。私はあの人達の為に戦うんだ・・・!)
「風は空に、星は天に・・・」
なのはは小声で口ずさむ。
「輝く希望はこの腕に、不屈の心はこの胸に・・・!」
それはかつて彼女が魔道を手にした時に唱えた呪文、苦難に立ち向かう原動力にして今までなのはを支えてきた魔法の言葉だ。
それを胸にエース・オブ・エースは空を翔る。
しかし、彼女は気付いていない。
心の輝きが眩しいほどその内の闇は強くなることを・・・。


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